この章では、ストリーミングまたはダウンロード可能なメディアの作成手順について説明します。ここでは、RealProducer の主な機能を解説し、静的なクリップまたはライブ ブロードキャストをエンコーディングし配信するための手順を説明します。
RealProducer はオーディオとビデオ入力から、RealAudio、RealVideo のクリップとブロードキャストをエンコードします。入力可能なファイル形式は WAVE、AVI、MPEG などです。また、この入力は、RealProducer をインストールしたコンピュータのオーディオまたはビデオ キャプチャ カードに接続された、マイクやカメラでキャプチャしたライブ素材である場合もあります。
| 詳細情報 : 利用可能な入力形式のリストは、「オーディオおよびビデオの入力形式」を参照してください。 |
RealProducer でクリップのエンコードを行う前に、任意のオーディオ / ビデオ編集プログラムでデジタル化された入力ファイルを編集することができます。編集プログラムを使うと、たとえば不要な部分を切り取るなどの方法でビデオの長さを設定することができます。RealProducer には切り取りなどの編集機能は用意されていますが、オーディオやビデオ編集プログラムが持っている高度な機能をすべて備えているわけではありません。
| ヒント :ストリーミング オーディオ クリップまたはビデオ クリップの品質は、ソース ファイルが基本となります。オーディオやビデオ編集に熟練すれば、作成するストリーミング クリップの質も向上します。エンコーディング用ファイルの準備に関しては、第 4 章および第 5 章を参照してください。 |
オーディオ入力またはビデオ入力の準備ができたら、それを RealVideo クリップまたは RealAudio クリップにエンコードできます。これらのタイプのクリップを総称して RealMedia と呼びます。このセクションでは、RealMedia クリップまたはブロードキャストをエンコードするために使用する RealProducer の特徴について説明します。
Windows では、RealProducer を実行する 2 つの方法があります。1 つは RealProducer のグラフィカル アプリケーションを使用する方法、もう 1 つは RealProducer のコマンド ライン アプリケーションを使用する方法です。Linux では、コマンド ライン アプリケーションのみ使用可能です。
RealProducer のグラフィカル アプリケーションは、RealMedia クリップおよびブロードキャストをエンコーディングするための使いやすいインターフェースを提供します。グラフィカル アプリケーションでは、入力ファイルのドラッグ & ドロップ、エンコーディング オプションの選択、エンコードされた出力のクリップへの保存、ブロードキャストのためのサーバへの送信などができます。グラフィカル アプリケーションの基本的な使用方法については、第 6 章で説明します。
Windows または Linux のコマンド プロンプトからコマンド ライン アプリケーションを実行できます。コマンド ライン アプリケーションは、グラフィカル アプリケーションが備えるすべての機能に加え、グラフィカル アプリケーションにはない高度な機能を提供します。コマンド ライン アプリケーションの実行に関しては、第 14 章を参照してください。
ジョブ ファイルは、RealProducer で RealMedia をエンコードする際の中核となります。ジョブはクリップまたはブロードキャストのエンコード方法を定義します。ジョブはメディア入力を選択し、エンコーディング プロパティを設定します。 また、エンコードされたストリームをクリップに保存するか、ブロードキャストのためにサーバへ送信するか、あるいはその両方を実行するか、といったような宛先の定義を行います。
グラフィカル アプリケーション、コマンド ライン アプリケーションの双方で、ジョブ設定を後から利用できるようにジョブ ファイルに保存することができます。そのほか、RealProducer を使用して、または手動によってジョブ ファイルの設定を変更し、新しいジョブの作成を容易にすることもできます。ジョブ ファイルは、XML をベースとした形式を利用してジョブのすべてのエンコーディング設定を定義します。
| 詳細情報 : グラフィカル アプリケーションを使用したジョブの定義方法については、「ジョブの使用」セクションで説明しています。コマンド ラインでジョブを指定する方法については、「ジョブ ファイルのオプション」を参照してください。また、付録 B にはジョブ ファイル構文の説明があります。 |
ジョブを設定する際は、少なくとも 1 つのオーディエンスを選択します。オーディエンスはエンコーディング ジョブのいくつかの側面を定義します。最も重要な点としては、オーディエンスはクリップまたはブロードキャストがストリームされるビット レートを定義します。ダウンロード可能なクリップに関しては、オーディエンスの選択はクリップの品質およびファイル サイズに影響を与えます。したがって、オーディエンスの選択は、クリップをエンコードする際の決定事項の中で最も重要な要素であるといえます。RealProducer には、モデムやスマートフォンへの低帯域幅ストリーミング用に設計されたオーディエンス、高品質ダウンロード ファイル用に設計されたオーディエンス、それ以外のさまざまな用途のために設計されたオーディエンスなど、複数のオーディエンスがあらかじめ定義されています。
| 詳細情報 : あらかじめ定義されたオーディエンスについては第 7 章に解説があります。また、「オーディエンスの選択」には、グラフィカル アプリケーションでのオーディエンスの選択方法に関する説明があります。「オーディエンス定義/オーディエンス ファイル (-ad)」には、コマンド ライン アプリケーションでのオーディエンスの選択方法に関する説明があります。オーディエンスを独自に作成することも可能です。詳細については、「オーディエンスの作成と編集」で説明しています。 |
各オーディエンスは、固定ビット レート (CBR) または可変ビット レート (VBR) のいずれかに区分されます。CBR のオーディエンスはストリーミング用に設計されたものです。CBR では、1 つのクリップまたはブロードキャストに複数のオーディエンスをエンコードすることができます。例として、CBR エンコーディングを使用すると、56 Kbps のモデム接続とそれ以上の速さのブロードバンド接続の双方に対して 1 つのクリップをストリームできます。
VBR のオーディエンスは、ダウンロード可能なクリップ用に設計されたものですが、場合によってはストリーミングに対しても使用できます。ダウンロード可能なクリップをエンコードする場合は、入力の圧縮の程度、あるいは保持したい入力品質の程度に基づいて VBR テンプレートを使用します。複数のオーディエンスを含むことのできる CBR クリップとは異なり、VBR クリップでは 1 つのオーディエンスのみが可能です。
| 詳細情報 : CBR と VBR に関する基礎知識については、「固定ビット レート ビデオ」および「可変ビット レート ビデオ」を参照してください。 |
RealProducer は、手動での編集が可能な XML 形式のオーディエンス テンプレートにオーディエンス情報を格納しています。また、既存のテンプレートをコピーした後で変更して、独自のオーディエンス定義を作成することも可能です。付録 C にオーディエンス テンプレートの構文に関する説明があります。オーディエンス テンプレートの情報をジョブ ファイルにコピーする方法については、「オーディエンス セクション」セクションを参照してください。
各ジョブは、エンコードされたメディア データとそのデータのすべてのプロパティから構成された出力を定義します。RealProducer の出力の送信先を定義するには、1 つまたは複数の宛先を指定します。
エンコード済みの RealMedia クリップが宛先となる場合があります。 クリップのファイル拡張子は 次の中から一つを使用します。
.ra RealAudioRealProducer は、入力がオーディオのみの場合、ファイルの拡張子として .ra を自動的に選択します。また、オーディオのみのコンテンツのファイルに対して、拡張子に .rm を選択することもできます。
ヒント : ファイル拡張子に .ra を使うと、サーチ エンジンはそのファイルがオーディオのみのクリップであると識別することができます。
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.rv RealVideo入力がビデオのみ、またはオーディオを含むビデオである場合、RealProducer は .rv をファイル拡張子に使用します。ビデオ コンテンツのファイルに対して、拡張子に .rm を選択することもできます。
ヒント : ファイル拡張子に .rv を使うと、サーチ エンジンはそのファイルが RealVideo クリップであると識別することができます。
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.rm RealAudio / RealVideo入力クリップの内容を判断できない場合、RealProducer は .rm をファイル拡張子に選択します。ユーザは任意の RealAudio クリップや RealVideo クリップ (可変ビット レートのクリップを除く) のファイル拡張子に、.rm を使用することができます。
.rmvb 可変ビット レート可変ビット レート オーディエンスを選択した場合、RealProducer は .rmvb をファイル拡張子に使用します。可変ビット レートのクリップをエンコードする場合は、拡張子に .ra、.rv、または.rm を使用することはできません。
| 詳細情報 : 詳細については、「可変ビット レート ビデオ」を参照してください。 |
クリップのエンコーディングに加えて、エンコード済みの出力をブロードキャスト用に 1 つまたは複数の Helix Server に送信するサーバの宛先を定義できます。すべての宛先が同一の出力データを受け取ります。たとえば、ネットワーク障害によりエンコードされたデータが宛先サーバに届かない場合でも、宛先クリップはデータを記録しています。
| 詳細情報 : 「入力と宛先の選択」で説明するように、単一の出力に対して複数の宛先をエンコードできます。ジョブ ファイルで宛先を定義する方法については、「ファイルとサーバの出力」で解説しています。 |
RealProducer では、異なるプロパティを持つ複数出力を定義することも可能です。たとえば、単一のビデオ入力から、高速のブロードバンド接続用の大きなビデオ クリップと、低速のモデム接続用の小さなビデオ クリップをエンコードすることができます。各ビデオのサイズが異なるため、これは異なる出力です。これらの各出力は 1 つまたは複数の宛先を持つことができます。 宛先はクリップへの保存あるいはサーバへの送信となります。複数出力をエンコードする場合、ジョブ ファイルで出力を定義し、そのジョブ ファイルをコマンド ライン アプリケーションで実行します。
| 詳細情報 : ジョブ ファイルでの複数出力の定義に関しては、「ファイルとサーバの出力」を参照してください。 |
オーディエンスの選択以外にも、ジョブではエンコーディングのための多くのパラメータを定義できます。
クリップあるいはブロードキャストには、標準で、プレゼンテーションのタイトル、制作者、著作権といった情報がエンコードされます。「クリップ情報の追加」セクションで、グラフィカル アプリケーションを用いたクリップ情報の追加方法を説明しています。コマンド ライン アプリケーションでのクリップ情報の追加方法に関しては、「クリップ情報のオプション」セクションを参照してください。また、「クリップ情報」で解説されているように、クリップ情報を直接ジョブ ファイルに追加することもできます。
ビデオ フィルタの使用により、エンコーディングを行う前にビデオ入力の変更や品質の改善が可能になります。ビデオ フィルタによって、ビデオ ノイズのようなアーティファクトを除去したり、ビデオを部分的に切り取ったり、サイズ変更したりできます。「RealVideo フィルタ」セクションにフィルタに関する説明があります。グラフィカル アプリケーションを用いたフィルタの適用方法に関しては、「ビデオ入力へのフィルタの適用」セクションを参照してください。「プレフィルタのオプション」では、コマンド ラインでフィルタを指定する方法が説明されています。ジョブ ファイルで使用されるフィルタ構文については、「プレフィルタ」で取り上げられています。
RealProducer で RealMedia クリップをエンコードした後、ストリーミング用にクリップを Helix Server に移動したり、ダウンロード サーバに配置したりできます。ここで、別のアプリケーションを使用して、エンコードされたクリップを変更することもできます。
RealMedia Editor を使用して、エンコード済みの RealVideo クリップや RealAudio クリップを編集することができます。たとえば、このアプリケーションでは、クリップ情報を変更したり、ビデオから任意のシーンを除去したり、複数のクリップを 1 つのクリップへ結合したりすることが可能です。RealMedia Editor は RealProducer Plus に付属しています。RealMedia Editor は、Windows 上でグラフィカル アプリケーションとして、Windows および Linux 上でコマンド ライン アプリケーションとして、実行することができます。RealMedia Editor の実行方法については第 12 章で説明しています。
RealMedia Events ユーティリティによって、既存の RealAudio クリップや RealVideo クリップにクリップ情報をエンコードすることができます。クリップへのイメージ マップや時間設定された URL の追加も可能です。これにより、視聴者がブラウザでビデオ クリップをクリックして関連する Web ページを開くことが可能になります。あるいは、オーディオ クリップやビデオ クリップがタイムライン上で特定のポジションに達したときに Web ページを自動的に開くこともできます。クリップ イベントの定義については、第 13 章を参照してください。
メディア資産を保護するために、RealNetworks のデジタル著作権管理テクノロジ (DRM) が使用できます。Helix DRM Packager を使用して、RealMedia クリップのコンテンツを暗号化することが可能です。 さらに、Helix DRM License Server を使用するとクリップに対して個別に権利を付与することができます。デジタル著作権管理はオプションであり、エンコーディング処理とは異なる要素です。
| 備考 : RealNetworks の DRM テクノロジの詳細情報については、http://www.jp.realnetworks.com/products/drm/index.html を参照してください。 |
クリップは、エンコード後にストリーミングまたはダウンロード用に使用できるようになります。また、さまざまなスクリプト言語やマークアップ言語を使用して、複数のクリップと Web ページを組み合わせたメディア プレゼンテーションを作成できます。RealProducer によりエンコードされたクリップまたはブロードキャストと組み合わせて使用できるスクリプト言語とマークアップ言語については、RealNetworks から入手可能な別のドキュメントで説明されています。
| 詳細情報 : RealNetworks のコンテンツ作成ガイドは http://service.jp.real.com/help/library/encoders.html から PDF または HTML 形式でダウンロード可能です。 |
プレゼンテーションのストリーミング準備の完了後、Ram ファイルを作成します。 movie.ram のようにファイル拡張子として .ram を使用するため、Ram ファイルと呼ばれます。Ram ファイルはメタファイルとも呼ばれ、Web ページをメディアにリンクします。Helix Server を使用してクリップやブロードキャストをストリームする際には Ram ファイルは必要ありませんが、RealPlayer へ単純なパラメータを渡す場合に便利です。たとえば、Ram ファイルによって、RealPlayer にクリップをフル スクリーン モードで開くように指示したり、クリップの再生時に表示する Web ページの URL を渡したりすることが可能です。
| 詳細情報 : Ram ファイルの作成方法に関しては、『ストリーミング メディア入門』のRam ファイルの章を参照してください。Ram ファイルに関しては、『RealNetworks プロダクション ガイド』のプレゼンテーションの配信についての章にも説明があります。 |
また、SMIL (同期マルチメディア統合言語) ファイルを作成し、複数のクリップを 1 つのプレゼンテーション内で統合することもできます。SMIL とは、ストリーミング メディア クリップのタイミングを合わせたり制御したりするための標準的なマークアップ言語です。SMIL ファイルを使用することにより、複数のメディア クリップのレイアウトを構成して同時並行的、または順番に再生を実行することが可能になります。そのほか、SMIL では、クリップの再生時に HTML ページを開いたり、視聴者のクリックしたボタンに応じて 3 つの異なるビデオの中から 1 つを再生するといったような、インタラクティブなオプションを提供することも可能です。
| 備考 : SMIL に関する基礎知識については、『ストリーミング メディア入門』を参照してください。SMIL を包括的に理解したい場合は、『RealNetworks プロダクション ガイド』を参照してください。 |
RealPlayer は、JavaScript と VBScript のメソッドをサポートしています。 これらのメソッドにより、Web ページに表示されたフォームや要素に対する視聴者の操作に応じてクリップを再生することが可能になります。Web ベースのスクリプトに習熟している場合、より詳細な情報が『RealOne Player スクリプト ガイド』で確認できます。
Web サーバがブラウザに Web ページを配信するように、Helix Server はストリーミング メディアを RealPlayer に配信します。Helix Server を使用して、RealProducer でエンコードしたクリップをストリームすることができます。また、RealProducer によってリアルタイムでエンコードされるライブ コンテンツを RealPlayer 視聴者への配信用に Helix Server に送信し、ライブ ブロードキャストを行うこともできます。
| 詳細情報 : Helix Server の機能についての詳細は、『Helix Universal Server アドミニストレーション ガイド』で確認できます。 このドキュメントは、http://service.jp.real.com/help/library/servers.html にアクセスしてブラウズまたはダウンロードが可能です。 |
ストリーミング プレゼンテーションを配信するためには、Helix Server へのアクセスが必要です。Helix Server を自分自身で実行していない場合、コンテンツ配信するために Helix Server 管理者が代わりにセットアップすることになります。クリップをオンデマンドでストリームする場合、単にクリップを Helix Server のコンテンツ ディレクトリに移動し、クリップへのリンクを Web ページに追加するだけですみます。
ライブ イベントをブロードキャストする場合、RealProducer と Helix Server がより緊密に協調して動作することが必要です。Helix Server 管理者は、ブロードキャスト ストリームを可能にするために特定のサーバ機能をセット アップする必要があります。ライブ ストリームの配信を可能にするために RealProducer で一定のサーバ パラメータを定義します。ブロードキャストに伴う留意事項は第 10 章で説明しています。Helix Server にブロードキャスト ストリームを送信する手順については、第 11 章を参照してください。
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